『Python数値計算ノート』ではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。

Pythonによる数値計算とシミュレーション

中古価格
¥1,977から
(2019/10/24 17:09時点)

行列のトレース(跡)

【Pythonで学ぶ線形代数学講座(21)】行列のトレース(跡)

行列のトレース(対角和)

$n\times n$ の正方行列
 \[A=\begin{bmatrix}a_{11}&a_{12} &\cdots &a_{1n}\\a_{21}&a_{22} &\cdots &a_{2n}\\\vdots & \vdots &\ddots &\vdots\\a_{n1}&a_{n2} &\cdots &a_{nn}\end{bmatrix}\]
について、主対角成分 (左上から右下に伸びる対角線上の成分) の総和
 \[a_{11}+a_{22}+\ \cdots\ +a_{nn}\tag{1}\]
を行列 $A$ の トレース(対角和)とよび、$\mathrm{tr}A$ で表します。稀にドイツ語の Spur の訳である跡(せき)という言葉が使われることもあります。たとえば、$4\times 4$ の正方行列
 \[A=\begin{bmatrix}5 & 7 & 1& 0\\9 & 2 & 8& 1\\3 & 6 & 5& 5\\4 & 0 & 7& 6\\\end{bmatrix}\]
のトレースを計算すると $\mathrm{tr}A=5+2+5+6=18$ となります。

トレースの性質

行列 $A$ のトレースは線形写像です。
すなわち、任意の行列 $A,\ B$ とスカラー$k$ について
 \[\begin{align*}&\mathrm{tr}(A+B)=\mathrm{tr}A+\mathrm{tr}B\tag{2}\\[6pt]&\mathrm{tr}(kA)=k\mathrm{tr}A\tag{3}\end{align*}\]
が成り立ちます。
 
一般に行列積について $AB=BA$ は保障されませんが、トレースの値は保存されます:
 \[\mathrm{tr}(AB)=\mathrm{tr}(BA)\tag{4}\]
実際、$2\times 2$ の正方行列
 \[A=\begin{bmatrix}a & b\\c & d\end{bmatrix},\quad B=\begin{bmatrix}e & f\\g & h\end{bmatrix}\]
について行列積は
 \[\begin{align*}AB=\begin{bmatrix}ae+bg & af+bh\\ce+dg & cf+dh\end{bmatrix}\\[6pt]BA=\begin{bmatrix}ae+cf & be+df\\ag+ch & bg+dh\end{bmatrix}\end{align*}\]
なので、トレースを計算すると
 
\[\begin{align*}&\mathrm{tr}(AB)=ae+bg+cf+dh\\[6pt]&\mathrm{tr}(BA)=ae+cf+bg+dh\end{align*}\]
となって、確かに $\mathrm{tr}(AB)=\mathrm{tr}(BA)$ が成り立っています。
 
行列 $A$ の 転置 についてもトレースは不変です。すなわち
 \[\mathrm{tr}A^T=\mathrm{tr}A\]
が成り立ちます。

numpy.trace()

numpy.trace() に行列 a を渡すと a のトレースを返します。
行列積 $AB$ のトレースと $BA$ のトレースが一致することを確認してみます。

# numpy_trace

# In[1]

import numpy as np

# 乱数ジェネレータを初期化
np.random.seed(15)

# 行列aを定義
# [[8 5 5]
#  [7 0 7]
#  [5 6 1]]
a = np.random.randint(0, 10, (3, 3))

# 行列bを定義
# [[7 0 4]
#  [9 7 5]
#  [3 6 8]]
b = np.random.randint(0, 10, (3, 3))

# 行列積abを計算
ab = np.dot(a, b)

# 行列積baを計算
ba = np.dot(b, a)

# abのトレース
tr_ab = np.trace(ab)

# baのトレース
tr_ba = np.trace(ba)

print("行列積ab\n{}\n".format(ab))
print("行列積ba\n{}\n".format(ba))
print("tr(ab) : {}".format(tr_ab))
print("tr(ba) : {}".format(tr_ba))

'''実行結果
行列積ab
[[116  65  97]
 [ 70  42  84]
 [ 92  48  58]]

行列積ba
[[ 76  59  39]
 [146  75  99]
 [106  63  65]]

tr(ab) : 216
tr(ba) : 216
'''

 

コメント

  1. あとりえこばと より:

    行列のトレースをChatGPTが対話形式で解説します

    生徒: 先生、行列のトレースって何ですか?聞いたことがありますが、具体的にはどういう意味なのでしょうか?

    先生: いい質問です。行列のトレースは、主対角線上の要素の和を指します。つまり、行列の左上から右下にかけての要素の和です。

    生徒: なるほど、トレースは主対角線上の要素の和なんですね。それで、トレースを求める具体的な手順はどうなりますか?

    先生: トレースを求める手順は非常に簡単です。ただし、行列の次元によって異なる点に注意してください。たとえば、3×3の行列の場合、主対角線上の要素を足し合わせるだけです。それが行列のトレースになります。

    生徒: なるほど、単純に主対角線上の要素を足し合わせるだけでいいんですね。でも、トレースを求めることには何の意味があるんですか?

    先生: トレースにはいくつかの応用があります。一つは行列の追跡とも呼ばれる追跡イデンティティです。追跡イデンティティでは、行列のトレースを利用して行列の性質を表現することができます。また、トレースは行列の性質の一つとして重要な役割を果たします。行列のトレースを計算することで、行列の対称性やトレースが同じであれば行列が類似していることがわかります。

    生徒: なるほど、トレースには行列の性質を表現する役割があるんですね。それは面白そうです。もっとトレースについて学んでみたいです。

    先生: 素晴らしいですね。トレースは行列の重要な概念であり、さまざまな数学や応用数学の分野で使われます。さらに学んでいくと、行列の特性や応用の幅が広がりますよ。ぜひ、興味を持って学んでみてください。