リーマンのゼータ関数

リーマンのゼータ関数

リーマンのゼータ関数

 解析的整数論において重要な位置を占める リーマンのゼータ関数 (Riemann zeta function)
 
\[\zeta(s)=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^s}\quad (\mathrm{Re}(s)\gt 1)\tag{1}\]
によって定義されます。Scipy にはリーマンゼータ関数を計算する scipy.special.zeta() が用意されていますが、定義 (1) の $s$ に相当する引数に正の実数しか渡せないので、応用範囲が限定的です。

mpmath.zata()

 この記事では mpmath に組み込まれている mpmath.zeta() を使うことにします。mpmath は Scipy や Sympy のバックグラウンドではたらく任意精度演算パッケージです。mpmath.zeta() は解析接続によって $s=1$ をのぞく複素数全域で定義されたゼータ関数を計算できます。

 mpmath.zeta(s, a=1, derivative=0)

 a = 1 を指定すると(デフォルトで 1 になっています)、リーマンのゼータ関数を計算します。

 ゼータ関数は $0$ を除く偶数点 $s=2n$ で収束します。
 
\[\begin{align*}&\zeta(2)=-\frac{\pi^2}{2}=1.6449\\[6pt]
&\zeta(4)=-\frac{\pi^2}{90}=1.0823\\[6pt]
&\zeta(6)=-\frac{\pi^2}{945}=1.0173\end{align*}\]
 mpmath.zeta() を使って確認してみましょう。

# ZETA-1
# s=2nにおけるゼータ関数の値

import mpmath
mpmath.mp.dps = 25
mpmath.mp.pretty = True

# ζ(2),ζ(4),ζ(6)
z2 = mpmath.zeta(2, 1)
z4 = mpmath.zeta(4, 1)
z6 = mpmath.zeta(6, 1)

# 計算結果を小数点以下8桁まで表示
print("ζ(2) = {}".format(z2))
print("ζ(4) = {}".format(z4))
print("ζ(6) = {}".format(z6))
ζ(2) = 1.644934066848226436472415
ζ(4) = 1.082323233711138191516004
ζ(6) = 1.017343061984449139714518

 $s=1$ はリーマンゼータ関数の極なので、mpmath.zeta(1, 1) はエラーを返します。$s=2n+1$ における値も計算しておきます。

# ZETA-2
# s=2n+1におけるゼータ関数の値

# ζ(3),ζ(5),ζ(7)
z3 = mpmath.zeta(3, 1)
z5 = mpmath.zeta(5, 1)
z7 = mpmath.zeta(7, 1)

# 計算結果を小数点以下8桁まで表示
print("ζ(3) = {}".format(z3))
print("ζ(5) = {}".format(z5))
print("ζ(7) = {}".format(z7))
ζ(3) = 1.202056903159594285399738
ζ(5) = 1.036927755143369926331365
ζ(7) = 1.008349277381922826839798

 

いちばんやさしいPythonの教本 人気講師が教える基礎からサーバサイド開発まで 「いちばんやさしい教本」シリーズ

ゼータ関数の自明な零点

 リーマンゼータ関数の $s=-2n\ (n\gt 0)$ は自明な零点とよばれます。
 mpmath.zeta() に零点での値を計算させてみましょう。

# ZETA-3
# 自明な零点の計算

# ζ(-2),ζ(-4),ζ(-6)
zm2 = mpmath.zeta(-2)
zm4 = mpmath.zeta(-4)
zm6 = mpmath.zeta(-6)

print("ζ(-2) = {}".format(zm2))
print("ζ(-4) = {}".format(zm4))
print("ζ(-6) = {}".format(zm6))
ζ(-2) = 0.0
ζ(-4) = 0.0
ζ(-6) = 0.0

 ちなみに、自明な零点以外の零点を非自明な零点とよびますが、
「非自明な零点はすべて $s=1/2+ti$ の上にあるよ」
というのが、かの有名な リーマン予想 です ($i$ は虚部、$t$ は任意の実数パラメータ) 。直線 $s=1/2+ti$ のことをクリティカル・ライン (critical line) といいます。
 
 非自明な零点がどのあたりにあるのか、Matplotlib でグラフを描いて調べてみましょう。
 横軸にはクリティカル・ライン、縦軸にはリーマンゼータ関数の絶対値 $|\zeta(s)|$ をとります。

# ZETA-4
# 非自明な零点の探索

import matplotlib.pyplot as plt

x = []
absz = []

t = range(0, 5000)

for q in t:
    s = 0.5 + 0.01 * t[q] * 1j
    x.append(0.01 * t[q])
    absz.append(abs(mpmath.zeta(s)))

# リーマンゼータ関数のグラフを描画
fig = plt.figure(figsize = (6, 6))
ax = fig.add_subplot(111)
ax.set_title("Absolute value of Riemann zeta Function", size = 14)
ax.grid()
ax.set_xlim(0, 40)
ax.set_ylim(-1, 4)
ax.set_xlabel("Critical Line", size = 14, labelpad = 10)
ax.set_ylabel("|ζ(s)|", size = 14, labelpad = 10)
ax.plot(x, absz, color = "darkblue")

 Python リーマンゼータ関数の非自明な零点の探索

 クリティカル・ライン上で $|\zeta(s)|$ が $0$ になっている点が非自明な零点です。
 詳しい計算によると、原点に最も近い非自明な零点は $s=1/2\pm (14.13...)i$ であることが知られています。