線型独立と線型従属

線型独立と線型従属

ベクトルの線形結合と行列式

ベクトルの線形結合

 ベクトル $\boldsymbol{v},\ \boldsymbol{w}$ について、それぞれに任意の実数 $p,\ q$ を掛けて加えたベクトル $\boldsymbol{r}$ を $\boldsymbol{v}$ と $\boldsymbol{w}$ の 線形結合 (linear combination) とよびます。
 
\[\boldsymbol{r}=p\boldsymbol{v}+q\boldsymbol{w}\tag{1}\]
 $\boldsymbol{v}$ と $\boldsymbol{w}$ が互いに平行でない 2 次元ベクトルであれば、$p$ と $q$ はすべての実数を動くので、$\boldsymbol{r}$ は平面上のすべての点を表します。このとき $p$ と $q$ は、下図にあるような斜交座標系上の点とみなすことができます。

 Python 互いに1次独立なベクトルの線形結合(linear combination)

 ベクトル $\boldsymbol{v}$ と $\boldsymbol{w}$ は、この座標系の基底とよばれます。
 この定義にしたがうと、普段よく使っているデカルト座標系(直交座標系)は、
 $\begin{bmatrix}1\\0\end{bmatrix}$ と $\begin{bmatrix}0\\1\end{bmatrix}$ を基底とする座標系です。

 ベクトル $\boldsymbol{v}$ と $ \boldsymbol{w}$ が平行であるとき、すなわち $\boldsymbol{w}=k\boldsymbol{v}$ と表せるとき、線形結合は
 
\[\boldsymbol{r}=p\boldsymbol{v}+q\boldsymbol{w}=p\boldsymbol{v}+qk\boldsymbol{v}=(p+qk)\boldsymbol{v}\]
となります。これはベクトルのスカラー倍であり、1 本の直線を表す式なので平面を作ることはできません。
 

線型独立と線型従属

 $n$ 個のベクトルの集合 $\{\boldsymbol{v}_1,\ \boldsymbol{v}_2,\ \cdots,\ \boldsymbol{v}_n\}$ が与えられたとします。

 この集合から任意のベクトル $\boldsymbol{v}_k$ を選んだとき、残りすべてのベクトルの線型結合で表すことができなければ $\{\boldsymbol{v}_1,\ \boldsymbol{v}_2,\ \cdots,\ \boldsymbol{v}_n\}$ は互いに 線型独立 であるといいます。

 逆に集合に含まれるいずれか1つのベクトルが残りのベクトルの線型結合として表すことができるのならば、$\{\boldsymbol{v}_1,\ \boldsymbol{v}_2,\ \cdots,\ \boldsymbol{v}_n\}$ は互いに 線型従属 であるといいます。

 最も簡単な例として、2 つのベクトルだけで構成される集合
 
\[U=\left\{\begin{bmatrix}1\\0\end{bmatrix}, \quad \begin{bmatrix}0\\1\end{bmatrix}\right\}\]
を考えます。$\begin{bmatrix}1\\0\end{bmatrix}$ を定数倍して $\begin{bmatrix}0\\1\end{bmatrix}$ をつくることはできないし、$\begin{bmatrix}0\\1\end{bmatrix}$ を定数倍して $\begin{bmatrix}1\\0\end{bmatrix}$ をつくることもできません。
 したがって、$\begin{bmatrix}1\\0\end{bmatrix}$ と $\begin{bmatrix}0\\1\end{bmatrix}$ は互いに線型独立です。

 次は上の集合 $U$ に $\begin{bmatrix}3\\3\end{bmatrix}$ を加えてみます。
 
\[V=\left\{
\begin{bmatrix}1\\0\end{bmatrix},\quad
\begin{bmatrix}0\\1\end{bmatrix},\quad
\begin{bmatrix}3\\3\end{bmatrix}\right\}\]
 $\begin{bmatrix}3\\3\end{bmatrix}$ と $\begin{bmatrix}1\\0\end{bmatrix}$ は平行ではないし、$\begin{bmatrix}3\\3\end{bmatrix}$ と $\begin{bmatrix}0\\1\end{bmatrix}$ も平行ではありませんが、
 
\[\begin{bmatrix}3\\3\end{bmatrix}
=3\begin{bmatrix}1\\0\end{bmatrix}
+3\begin{bmatrix}0\\1\end{bmatrix}\]
のように他の 2 本のベクトルの線型結合で表されるので、集合 $V$ の各ベクトルは互いに線型従属の関係にあります。2 次元空間 (平面) では 2 本の互いに独立なベクトルで全平面を張れるので、3 本以上のベクトルで構成される集合は必ず線型従属となります。

 2 つの 2 次元ベクトルの間で成り立つ線型独立と線型従属を表す公式を導いておきます。

 $\boldsymbol{v}=\begin{bmatrix}v_1\\v_2\end{bmatrix}$ と $ \boldsymbol{w}=\begin{bmatrix}w_1\\w_2\end{bmatrix}$ が 線型従属であるときは、
 
\[\begin{bmatrix}w_1\\w_2\end{bmatrix}=k\begin{bmatrix}v_1\\v_2\end{bmatrix}\]
と表せるので、
 
\[v_1w_2-v_2w_1=kv_1v_2-kv_2v_1=0\]
が成り立ちます。ベクトルが線型独立であるときには、
 
\[v_1w_2-v_2w_1\neq 0\]
となります。証明は省略しますが、この逆も成り立ちます。すなわち、$v_1w_2-v_2w_1=0$ であれば $\boldsymbol{v}$ と $\boldsymbol{w}$ は線型従属であり、$v_1w_2-v_2w_1\neq 0$ であれば $\boldsymbol{v}$ と $\boldsymbol{w}$ は 1 次独立です。